日本NIE研究会は、2000年8月22日から山梨県清里高原・清泉寮で開催された第1回清里フォーラムで設立された。以来毎年8月に清里フォーラムは開催され、2014年には15回目が開催された。
日本のNIEは、日本新聞協会1)が1985年以来、都道府県教育委員会、全国新聞教育研究協議会(全新研)、東京都中学校新聞教育研究会(都中新研)、東京都小学校新聞教育研究会(都小新研)などの協力を得て普及に努めてきた。日本NIE研究会は、この間にNIEの経験を積んだ教師たちがさらに研究を深めようと妹尾彰・元日本新聞協会NIEコーディネーターを中心に結成したものである2)。
設立当初、フォーラムの趣旨を「NIEを積極的に推進し、NIEの理論と実践を真摯に学ぼうとする国内外の教育関係者、新聞関係者等の研究集会であり、日本新聞教育文化財団(日本新聞協会)および新聞各社が進めるNIE活動を積極的に支援するものである」と明確にした。活動は①清里フォーラム ②国内交流 ③国際交流(日韓交流) ④出版 を4つの柱として、研鑽・親睦・交流を合い言葉に、教師と研究者、新聞人の三者が共に研究を進めている。
1)NIE事業:日本新聞協会から財団法人・日本新聞教育文化財団が一時期NIE事業を引き継いだが、現在は日本新聞協会が行っている。
2)日本NIE研究会の「理念と設立」および「役員の選出と規約の決定」については、「新聞でこんな学力がつく」(日本NIE研究会著東洋館出版社2004年)に詳述している。
****清里フォーラム****
日本NIE研究会は、「共に学ぶ」という趣旨にそって、2000年以来、教育界と新聞界、有志の人たちが毎年8月、山梨県清里高原の清泉寮に合宿し、互いに実践報告をしたり、新聞やNIEについての意見を交換したりして研究を深めてきた。
フォーラムのテーマは「NIEのあり方」から始まり、「地域」「メディア・リテラシー」「学力」「いのち」「人権・プライバシー」「新学習指導要領」「新教育課程」「震災報道」「デジタル化」とその時代に適合するNIEの課題に焦点をあててきた。2000年から2003年から2014年までの12年間のフォーラムの実践内容については、プログラムを紹介する。2002年までの4年間の内容については、「新聞でこんな学力がつく」(日本NIE研究会著 東洋館出版)に詳しく紹介している。
第1回2000年8月22~23日
【講演】「これからのNIEはどうあるべきか」妹尾 彰(会長・NIEコンサルタント)
【講演】「新聞は信用できるか」 吉田伸弥 (元読売新聞編集委員)
【講演】「教育界から新聞界へ求めるもの-教育課題とNIE活動」
影山清四郎(横浜国立大学教授)
第2回2001年8月23~24日
【実践報告】「地域からのNIE」
1「地域社会の良さを発見し伝えよう」 長井博和(大阪市立真田山小学校)
2「地域社会から始めるNIE」 臼井淑子(横須賀市立鴨居小学校)
3「地域とNIE 脱教科の視点から」 白石孝久(東京都新宿区立戸塚第一小学校)
4「メシアリテラシーの教材と授業」 岸尾祐二(聖心女子学院初等科)
5「批判的な<読み>を育てる試み」 坂本まゆみ(山梨県双葉町立双葉中学校)
6「社会科の力を新聞で育てる」 横井純夫(静岡県磐田市立白山中学校)
7「NIEの学習効果」 有馬進一(藤沢市立長後中学校)
8「学校・地域にNIEの種を蒔く」 鹿野川喜代美(福生市立福生第一中学校)
9「私のささやかな実践」 佐藤弥生(埼玉県立大宮南高等学校)
10「車いすのレーサー渡辺幸哉さんとの出会いから」
佐藤香(秋田県立男鹿高等学校)
【パネルディスカッション】
「新聞社のNIEへの取り組み」
(各社の体制と活動 NIEに役立つ紙面とは 教師の要望に応える)
パネラー 松村崇夫(朝日新聞東京本社編集委員)
福田 徹(読売新聞大阪本社編集委員)
妹尾 彰(毎日新聞OB)
小林 広(山梨日日新聞編集局)
吉田伸弥(元読売新聞編集委員)
【講演】「教育界から新聞界へ求めるもの-教育課題とNIE活動」
影山清四郎(横浜国立大学教授)
第3回2002年8月21~23日
【基調講演】妹尾 彰(会長・NIEコンサルタント)
【基調提案】「メディア・リテラシーを日常化しよう」岸尾祐二(聖心女子学院初等科)
【実践報告】「メディア・リテラシーとNIE」
1「情報をクリティカルに読み解く能力」 有馬進一(藤沢市立長後中学校)
2「国語の授業に生かすNIE」 安住せい子(相模原市立鵜の森中学校)
3「記事から生まれる人との出会い―がんと闘いながら詩の創作と朗読に取り組む
田口民也さんに手紙を書いたことから―」 渡邉裕子(仙台市立五橋中学校)
4)「地道なNIE活動を目指して ~ディスカッションを中心に~」
木下晴子(仙台市立秋保中学校)
5「新聞とテレビを比較する」 鈴木雅史(東京都台東区立上野中学校)
6「米国同時多発テロを追いかける」 鹿野川喜代美(福生市立福生第一中学校)
7「新聞づくりとメディア・リテラシー」 中根淳一(神奈川県立初声高等学校)
8「アメリカ同時多発テロの記事を使った国語表現の授業」
佐藤 香(秋田県立男鹿高等学校)
9「修学旅行の事前学習における全国紙と地方紙の比較」
佐藤弥生(埼玉県立大宮南高等学校)
10「ワールドカップと私―記事を収集・整理し新聞にまとめる」
長井博和(大阪市立真田山小学校)
11「新聞っておもしろい―NIEの新たな魅力と可能性を求めて―」
嶋崎 修(山梨県牧丘町立牧丘小学校)
12「小学校高学年でのメディア・リテラシーの育成を考えて」
臼井淑子(横須賀市立鴨居小学校)
13「NIEで情報リテラシーを学ぶ」 相澤経利(仙台市立福岡小学校)
14「メディア・リテラシーにおけるNIEの実践 新聞社取材を通して」
中辻正樹(仙台市立松陵小学校)
【講演】「マスコミは事実を伝えているか―誤報・虚報・偏った情報の作られ方」
福田 徹(読売新聞大阪本社編集委員)
第4回2003年8月10~12日
【基調講演1】「新聞と学力」 影山清四郎(横浜国立大学教授)
【基調講演2】「大学生のNIE―活字メディア分析を新聞で表現する―」
柳澤伸司(立命館大学教授)
【報告】「最近の時事問題と新聞報道」
「新聞社としての取り組み」 岡田誠太郎(読売新聞東京本社NIE事務局長)
「末期ガンを宣告されたあとも死の直前まで社会面連載『生きるものの記録』を書き続けた佐藤健記者」 赤池 幹(毎日新聞編集委員)
「時事問題:広島県尾道市の校長自殺事件」福田 徹(読売新聞大阪本社編集委員)
【講演】「知的好奇心を育てる文化遺産~デジタル化と索引ベースでよみがえる昔の新聞~」 吉田伸弥(副会長・元読売新聞編集委員)
第5回2004年8月9~11日
【基調講演1】「日本NIE学会設立について」 影山清四郎(横浜国立大学教授)
【基調講演2】「いのち~生と死を考える~ジャーナリズム論の視点から」
柳澤伸司(立命館大学教授)
【実践報告】「いのち~生と死を考える~」
1「子供たちの音声言語を磨くことの意義 ネットワークを生かすことの意義」
鹿野川喜代美(福生市立福生第一中学校)
2「命の授業…全学年で取り組んだ実践から…」 渡邉裕子(仙台市立五橋中学校)
3「自分史新聞…作りを通した中学三年における実践…」
大谷まなほ(名古屋市立城山中学校)
4「生きるってどんなこと?」 臼井淑子(横須賀市立鴨居小学校)
5「ファミリーフォーカスで いのちを考える」 加藤裕明(成城学園初等部)
6「メディア・リテラシーは基本も応用も ―高校と大学での実践を通して―」
佐藤弥生(埼玉県立大宮高等学校)
7「『ハンセン病』学習におけるNIE」 二宮浩一(鹿児島市立吉野中学校)
8「生きる者の記録-命のバトンタッチ-」 遠山章夫(立教小学校)
9「いのち」 中辻正樹(仙台市立松陵小学校)
10「腎臓移植と重症障害新生児室治療から考える」佐藤 香(秋田県立角館高等学校)
11「加古川南高原実男実践から学ぶ」 福田 徹(読売新聞社大阪本社編集局)
【講演】「最近の時事問題と新聞報道」
「マスコミ倫理をめぐる諸問題」 佐藤敏実(日本新聞協会)
吉田伸弥(副会長・元読売新聞編集委員)
岡田誠太郎(読売新聞東京本社NIE事務局長)
福田 徹(読売新聞社大阪本社編集局)
向山文人(山梨日日新聞編集局)
有木靖人(日本新聞協会)
【著者に質問・著者に学ぶ】「新聞でこんな学力が」(鹿野川 佐藤弥生 臼井 ほか)
【報告】「韓国視察(3月)から学ぶ」(日韓NIE研究会交流会参加者)
第6回2005年8月8~10日
【講演】 「NIEの20年~これからのNIEを考える」 妹尾 彰(会長)
【基調講演1】「アメリカのNIE事情」 岡田誠太郎(読売新聞社NIE事務局長)
【基調講演2】「1950年代の新聞教育」 佐藤弥生(埼玉県立大宮高等学校)
【ワークショップ】「その日の紙面から」 講師=渡邉裕子(仙台市立五橋中学校)
【実践報告】「いのち~生と死を考える~」
コーディネーター=影山清四郎(横浜国立大学教授)
1「NIE全国大会(鹿児島大会)を振り返って」 二宮浩一(鹿児島市立吉野中学校)
2「幸せって何?~笑顔の後ろにあるもの~」 木下晴子(仙台市立秋保中学校)
3「生・いのちを考える~国語の授業での試み~」佐藤香(秋田県立角館高等学校)
4「感性を磨く創作活動」 鹿野川喜代美(青梅市立泉中学校)
5「いのち~生と死を考える~」 臼井淑子(横須賀市立鴨居小学校)
【シンポジウム】コーディネーター=柳澤伸司(立命館大学教授)
「人権・プライバシーと報道-JR西日本事故を例に考える-」
【基調提案】「危機に瀕する表現の自由」佐藤敏実(日本新聞協会)
【基調提案】「事件報道の現状と課題-現場からの報告」徳山喜雄(朝日新聞)
【基調報告】「JR福知山線の取材と課題」福田 徹(読売新聞)
「毎日新聞メディア面から」赤池 幹(毎日新聞)
「山梨日日新聞の記事から」向山文人(山梨日日新聞)
第7回2006年8月7~9日
【基調講演1】「新聞を知る 新聞で学ぶ」
妹尾 彰(会長) 福田 徹(武庫川女子大学広報室長)
【基調講演2】「学びを開くNIE-新聞を使ってどう教えるか-」
影山清四郎(日本NIE学会会長・横浜国立大学教授)
【講演】
1「これだけは身につけよう! 社会科の基礎知識」「五感スクール 感覚を磨く25のメソッド」 岸尾祐二(聖心女学院初等科)
2「月刊 NEWSがわかる」 木村葉子(毎日新聞)
3「サッカーW杯の世界的効果」 川島健司(読売新聞・サッカー担当主任デスク)
4「新聞人の『新聞と教育』観」 柳澤伸司(立命館大学教授)
【討議】(報道関係者を囲んで)「スポーツ面をどう役立てるか」
【話題提供】
「進化するNIEを考える~新聞社サイドから~ ―個人の品格をどう伝承するか―」岡田誠太郎(読売新聞社NIE事務局長)
第8回2007年8月1~3日
【特別講演】「NIEの現状と課題」
影山清四郎(日本NIE学会会長・東京福祉大学)
【報告提案】「再チャレンジ『新聞で「いのち」を考える』出版計画」
岸尾祐二(聖心女子学院初等科)
【報告】
1「NIE世界大会より」 岡田誠太郎(前・読売新聞社NIE事務局長)
2「ただ今、地域NIE種まき中」 渡邉裕子(NIE教育コンサルタント)
3「NIEで育てるリテラシー」 臼井淑子(横須賀市立鴨居小学校)
4「最近の新聞事情」 佐藤敏実(前・日本新聞協会審査室長)
5「記事のどこに注目するか」 有馬進一(藤沢市立大庭中学校)
6「わたしとNIE ―学校現場を離れて―」
鹿野川喜代美(読売新聞社編集局NIE事務局・NIEカリキュラムデザイナー)
7「韓国NIE視察」 佐藤弥生(埼玉県立大宮南高校)
【特別講義】
「楽しく新聞を読んで、社会を知る」 福田 徹(武庫川女子大学広報室長)
【講演】「日本NIE研究会について」 妹尾 彰(日本NIE研究会会長)
第9回2008年8月5~7日
【特別講演1】「新学習指導要領とNIE」 高木まさき(横浜国立大学教授)
【特別講演2】「洞爺湖サミットの成果と課題」 石井 徹(朝日新聞編集委員)
【パネルディスカッション】「NIEがめざすべき方向」
パネラー 影山清四郎(日本NIE学会会長・東京福祉大学教授)
妹尾 彰(日本NIE研究会会長)
冨士原紀絵(お茶の水大学准教授)
コーディネーター 福田 徹 (武庫川女子大学広報室長)
【実践報告】
1「NIE実践の場を変えて~中学校から小学校へ~」鈴木雅史(逗子市立逗子小学校)
2「教職大学院におけるNIE研究」 新井清彦(東京学芸大学教職大学院生)3「米国NIEにおける教材開発」 岡山三智子(藤沢市立滝の沢小学校)
【新刊紹介】
「子どもが輝くNIEの授業 -新聞活用が育む人づくり教育」(晩成書房)
妹尾 彰(日本NIE研究会会長)ほか執筆者
【報告】
1「記者が知らなかったNIEとその重要性」高野 義雄(読売新聞社NIE事務局長)
2「裁判員制度と事件取材」 佐藤敏実(前・マスコミ倫理懇談会事務局長)
【提案】
1「HPの開設について」 佐藤和紀(小平市立小平第五小学校)
2「研究と出版について」 岸尾祐二(聖心女学院初等科)
第10回2009年8月3~5日
【特別講演】「PISAが明らかにしたことばの教育の課題とNIE」
岩永正史(山梨大学教授)
【パネルディスカッション1】「新聞教育の原点を探る」
パネラー 妹尾 彰 (日本NIE研究会会長)
柳澤伸司(立命館大学教授)
冨士原紀絵(お茶の水女子大学准教授)
コーディネーター 影山清四郎(日本NIE学会会長・横浜国大名誉教授)
【パネルディスカッション2】「次世代読者をどう育てるのか」
パネラー 高野義雄(読売新聞社NIE事務局長)
関 博至(毎日新聞社編集委員)
山口百希(朝日新聞社NIE専任コーディネーター)
コーディネーター 鹿野川喜代美(読売新聞社NIE企画デザイナー)
【実践報告】
1「NIEと10年」 大谷まなほ(名古屋市立城山中学校)
2「新聞記事を読み比べ、自分の考えを形成しよう」
高左右美穂子(北杜市立小淵沢中学校)
3「総合的な学習の時間―新聞をとおして生き方を探るー」
所 孝子(さいたま市立岸中学校)
4「平和・人権学習を基礎として」 挽地一代 (奈良市立二名小学校)
5「新聞は生徒にどのような力を育むか~閲読習慣をつけ授業で活用する実践を通じて~」 新井清彦(東京学芸大学教職大学院生)
6「高等学校におけるNIEの実践」 廣瀬志保(山梨県立塩山高校)
7「全校で取り組んだNIE」 羽賀絹恵(世田谷区立上北沢小学校)
【提案】
1「研究・出版について」 岸尾祐二(聖心女子学院初等科)
2「HPの開設について(佐藤和紀提案)」 佐藤弥生(埼玉県川越女子高校)
第11回2010年8月2~4日
【パネルディスカッション】
「新教育課程とNIE ~新聞は教科書にどう扱われるのか~ partⅠ」
パネラー 高木まさき (横浜国立大学教授)
堀畑仁宏 (東京書籍・編集局小学社会編集長)
飯田順子 (光村図書・第一編集部部長)
岸尾祐二 (聖心女子学院初等科教諭)
コーディネーター 影山清四郎(日本NIE学会前会長・横浜国立大学名誉教授)
【基調講演】「事実を伝える記者 事実を伝えられない記者」
福田 徹(武蔵川女子大学広報室長)
【パネルディスカッション】
「メディアリテラシーを育むNIE ~TV・新聞・インターネット~」
パネラー 石原広貴(山梨放送ラテ報道部デスク)
高野義雄(読売新聞NIE事務局長)
柳澤伸司(立命館大学教授)
臼井淑子(横須賀市立田戸小学校)
佐藤和紀(小平市立小平第五小学校)
コーディネーター 富士原紀絵(お茶ノ水女子大学准教授)
【実践報告】
1「NIE-三年目の挑戦!」 織田宗之(藤沢市立明治小学校)
2「日々の生活でのNIE」 挽地一代(奈良市立二名小学校)
3「ビジネスNIE ~NIEでコミュニケーションの達人に~」
渡邉裕子(白鴎大学・東北福祉大学講師)
4「高校でのメディア・リテラシーと新聞活用」
佐藤弥生(埼玉県立川越女子高等学校)
第12回2011年8月1~2日
【特別講演】「試される人間力」渡邉 裕子(白鳳大学・東北福祉大学講師)
【パネルディスカッション】
「新教育課程とNIE~新聞は教科書にどう扱われるのか~partⅡ」
パネリスト 三光 穣(東京書籍中学校社会編集長)
山本智子(光村図書中学校国語編集長)
有馬進一(藤沢市立大庭中学校)
木下晴子(仙台市立幸町中学校)
コーディネーター 冨士原紀絵(お茶の水女子大学准教授)
【実践報告】
1「人権とNIE」 挽地一代(奈良市立二名小学校)
2「小学校低学年段階におけるNIEの導入~新聞となかよくなろう~」
羽賀絹恵(世田谷区立上北沢小学校)
3「投書お手本 意見深める」 臼井淑子(横須賀市立田戸小学校)
4「小論文 まず情報吟味で」 佐藤弥生(埼玉県立川越女子高等学校)
【パネルディスカッション】「震災報道とNIE」
進行・佐藤敏実(前マスコミ倫理懇談会事務局長)
パネリスト 高野義雄(読売新聞NIE事務局長)
山浦正敬(朝日新聞盛岡総局次長)
小林慶太(山梨放送報道部記者)
コーディネーター 柳澤伸司(立命館大学教授)
第13回2012年8月2~3日
【基調講演】「NIEのこれまでとこれから」 柳澤伸司(立命館大学教授)
【鼎談】「新教育課程とNIE ~新聞は教科書にどう扱われるのか~ partⅢ」
コーディネーター 有馬進一(藤沢市立大庭中学校)
パネリスト 伊藤育夫(東京書籍・国語編集部高等学校編集長)
佐藤弥生(埼玉県川越女子高校)
鹿野川喜代美(読売新聞NIE企画デザイナー)
【出版記念講演】
「新NIE実践ヒント・ワークシート集―新聞を楽しく読んで考えよう―」
妹尾 彰 (日本NIE研究会会長)
【基調報告】「震災報道とNIE その2」 佐々木順子(仙台市立太白小学校)
【パネルディスカッション】進行 佐藤敏実(前マスコミ倫理懇談会事務局長)
パネリスト 渡邉裕子(白鴎大学・東北福祉大学)
高野義雄(読売新聞NIE事務局長)
万代雅久(朝日新聞NIE事務局長)
城島 徹 (毎日新聞「教育と新聞」推進本部 NIE部長)
小宮山良一 (山梨日日新聞読者センター長)
コーディネーター 岸尾 祐二(聖心女子学院初等科)
【実践報告】
1「誕生日新聞から未来を読む」 田村 香代子(国分寺市立第五小学校)
2「感性とメディア」 挽地 一代(奈良市立二名小学校)
3「新聞各紙における報道姿勢の違いを知る」 山下 由梨(山梨県立巨摩高校)
4「図書委員会活動から広げるNIE」 佐藤 香(秋田県立角館高等学校)
第14回2013年8月5~6日
【 基調講演1】「NIEの原点を考える」 妹尾 彰 (日本NIE研究会会長)
【 基調講演2】「デジタル情報化社会におけるNIEの課題」
柳澤伸司(立命館大学教授)
【パネルディスカッション】「学校のデジタル化とNIE」
パネリスト 臼井淑子(横須賀市立田戸小学校)
新井清彦(羽村市立羽村第一中学校)
佐藤弥生(埼玉県立川越女子高等学校)
コーディネーター 岸尾祐二(聖心女子学院初等科)
【報告】「新聞各社のWebサイトのNIEホームページに関する一考察」
有馬 進一(慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
【パネルディスカッション 】「新聞のデジタル化とNIE」
パネリスト髙野義雄(読売新聞NIE事務局幹事)
城島 徹 (毎日新聞「新聞と教育」推進本部NIE専門部会長)
桧山直樹(朝日新聞デジタル営業センター次長)
コーディネーター 渡邉 裕子(白鴎大学・東北福祉大学講師)
【実践報告】
1「農業高校での一年の歩み」 佐藤 香(秋田県立大曲農業高等学校)
2「'13神奈川『親子で学ぼう 新聞の読み方セミナー』」
織田宗之(藤沢市立明治小学校)
3「'13朝日夏休み新聞教室『ことばの貯金箱』」
羽賀絹恵(豊島区立池袋第二小学校)
4「夏のサマースクール:新聞教室から」 石丸紀善(神奈川県清泉小学校)
5「『日付変更線って何』から始める私の社会科」 岸尾祐二(聖心女子学院初等科)
第15回2014年8月4~5日
【出版へ向けて】
「新著『新聞で育む ―NIEのさらなる発展を―』(仮題)への期待」
川田龍哉(東洋館出版社取締役・編集部長)
【原稿検討会】18名参加
参加者:柳澤伸司 小宮山良一 城島 徹 高野義雄 木村葉子 佐藤敏実
岸尾祐二 有馬進一 鹿野川喜代美 佐藤弥生 渡邉裕子 田村香代子
挽地一代 新井清彦 織田宗之 川田龍哉 大谷まなほ 臼井淑子
****国内交流・国際交流****
ともにNIEを研究する日本NIE研究会会員とNIE実践者とがさらなる指導力向上とNIE普及を目指して研鑽することを目的に、2001年から日韓交流を、また2003年から国内交流を続けている。
1.国内交流の歩み
第1回国内交流会は2003年3月30日、会員6名が大阪を訪れ、大阪の実践教師と交流した。NIEへの認識が広まりにもかかわらず、NIE実践者の伸び悩みという現実があることに対し、新聞界から教育界への働きかけやコーディネーターのあり方が話し合われた。第2回国内交流会は2003年8月12日、清里フォーラムの閉会後、行われた。山梨の実践教師やファミリーフォーカスを体験した母親たちが参加し、親子NIEのよさやNIEの地道な取り組みが交流された。
第3回国内交流会は2005年3月26日、会員10名が仙台を訪れ、宮城県側25名と交流した。折しも日本NIE学会が設立した時期で、影山学会長が挨拶に立ち、「NIEの情報を全国的組織的に交換する場を設け、学習者の立場に立って分析していきたい。」と学会参加を呼びかけた。
第4回国内交流会は2006年3月25日、東京に会員17名とNIE実践者等8名が集まった。実践への意見交換の要望が強く、予定したワークショップを中止するほどであった。
第5回国内交流会は2008年3月29日、会員10名が角館を訪れ、秋田県側17名と交流した。PISA型読解力や新学習指導要領が取り上げられ、熱心な討議がなされた。
第6回国内交流会は当初2011年3月26日、新しい教科書に出てくる新聞活用の研究を予定していた。しかし、東日本大震災のため中止した。2年後の2013年3月23日、内容を変更し、読売新聞東京本社主催のNIE土曜サロン参加者との交流を行った。実践交流のほか、「NIEの現状と展望」と題して、パネルディスカッションを行った。
2.国際交流の歩み
第1回日韓交流は、日本NIE研究会が、2001年1月25日から28日まで訪日した韓国新聞活用教育学会の李貞均会長ら15名のホスト役を務めた。一行は、日本教育文化財団NIE全国センター(当時)の見学や神奈川県藤沢市立長後中学校や聖心女学院初等科の授業参観、読売新聞社を見学した。交流会では、「学校と家庭でのNIE」をテーマにパネルディスカッションを行った。韓国のファミリーフォーカスの実態に日本のNIE関係者は一様に驚いた。
第2回日韓交流は、2001年3月24日から27日まで、日本NIE研究会8名がソウルを訪れた。中央日報社が開催する「NIE指導者養成セミナー」を見学したほか、高陽市白馬中学校やソウル市九宣小学校の授業を参観し、鹿野川喜代美は白馬中学校でNIE授業を行った。「韓日NIE実践事例報告会」での岸尾祐二の「JR山手線新大久保事件を追って」の報告は、強い関心を呼んだ。
第3回日韓交流は、2002年1月25日から29日まで、韓国新聞活用教育学会の李貞均会長ら10名が東京を訪れた。朝日新聞社との共催で「日韓のNIE活動を考える」をテーマのシンポジウムが開かれた。影山清四郎・横浜国大教授(当時)が司会を、李会長のほか、池淑・仁川西串中学区教諭、柳澤伸司・立命館大学助教授(当時)、岸尾祐二、渡邉裕子、有馬進一がパネリストを務め、約100名の参加者は熱心に聞き入った。また、一行は横須賀市立鴨居小学校と福生市立福生第一中学校の授業を参観した。
第4回日韓交流は、2004年3月27日から29日、日本NIE研究会12名がソウルを訪れ、陽川区図書館や京城高等学校でのNIEを視察した。韓国では生涯教育としての「図書館でのNIE」が進められており、多くの母親たちが熱心にNIEに取り組んでいた姿が印象深い。
第5回日韓交流は、2005年1月23日から25日まで、韓国新聞活用教育学会李貞均会長ら16名が訪日した。日本側は京都NIE推進協議会村田隆雄会長ほか12名が参加して、京都を会場にNIEを話し合った。「ファミリーフォーカスは家族という愛の垣根の中で情報と知識の習得という初恋を味わうことである。さらに、友だちを通して他人の世界を理解し、世の中に出ていく『橋』をつくる。この『橋』がファミリーフォーカスである」という李会長の講演が印象に残る。ファミリーフォーカスは韓国型NIEであることを実感した。
第6回日韓交流は、2007年3月24日から26日まで、日本NIE研究会6名がソウルを訪問した。親子NIE講座に参加し、「ファミリーフォーカスの手法と効果」を視察した。明知外国語高等学校では、佐藤弥生と佐藤香が高校生にNIE授業を行った。韓国では、母親向けのNIE講座が開設されている。韓国各地のNIE講師400人にアンケートした実態調査では、カリキュラムの標準化、研究委員会づくり、教師とのネットワークづくり、NIEの基本的概念の確立など、これからの韓国NIEを考えるキーワードが報告された。NIE10年目の韓国の課題が浮き彫りにされたといえよう。
3.日米交流
2003年11月1日から3日まで、読売新聞社との共催でベティ・サリバン氏を招き、東京・大阪で日米NIE交流会を行った。サリバン氏は元アメリカ新聞協会NIE担当部長で、1994年日本新聞協会の招きで来日して以来、9年ぶりの来日であった。
東京での交流会は「第8回読売NIEセミナー」として開催され、サリバン氏は「NIEの未来に期待する」という題で基調講演し、そのあと、妹尾、有馬、新井紀子・国立情報学研究所助教授(当時)がパネリストとなって、シンポジウム「日米NIEの課題」が開かれた。大阪での交流会「第5回教育と新聞・読売セミナー―日米のNIEを考える」は、サリバン氏の基調講演に続き、妹尾と植田恭子・大阪市立天王寺中学校教諭(当時)が加わってシンポジウムが行われた。フロアから枝元一三・大阪NIE推進協議会会長(当時)が提唱した「生涯学習型NIE」にサリバンも賛成した。
サリバン氏は大阪教育大付属天王寺中学校と宝塚市・小林聖心女子学院小学校を訪問、NIE授業を参観し、「みなさんは日本の将来そのものです」と生徒たちを激励した。