第10回 日本新聞協会NIEホームページを探るⅠ「NIEニュース」⑩メディアリテラシーの育成
NIEニュース105号(2025年2月15日発行)
https://nie.jp/publication/pdf/ver_105.pdf
【フロントページ】
特集「新聞で培うメディリテラシー」
まず、特集「新聞で培うメディリテラシー」寄稿の意図が書かれています。
「フェイクニュースや偏った情報があふれ、SNSが選挙に影響を及ぼす今日、情報の真偽や価値を見極めるメディアリテラシーの育成が急務だ。巻頭はネット社会でNIEが果たす役割について考察していただき、小中高の先生方には実践例を紹介いただいた。」
立命館大学産業社会学部教授
柳沢伸司氏
冒頭「SNSの利用やネットの検索機能は便利で、それに慣れるとやめられない。使えば使うほどアルゴリズムが働きエコーチェンバーやフィルターバブルを自覚することなく、自分の志向と会う情報に依存していく。簡単に答えを求め、意見が異なる相手を理解しようとしない傾向もメディアの使い方によるものだ。
スマートフォンやタブレット端末が家庭や教育現場で児童・生徒たちの最も身近な情報発受信ツールとなっているが、それは誰もが『メディア』になるということを意味する。情報の真偽や価値を見極める力だけでなく、メディアを使うための『作法』が必要だ。」
子どもたちがスマートフォンやタブレット端末を日常使うことは、誰もが「メディア」になるという発想はとても説得力があります。そして、「メディア」を使うための「作法」へと言及していきます。
「誰もが発信者の時代に」との見出しで、誰でもが「メディア・ジャーナリスト」としての責任と自覚が求められるとし、ジャーナリズム感覚を養う視点として2点を挙げています。
1つの方法は「自分たちの生活環境(自治)を考えるための『新聞づくり』」とします。
「取材して伝える行為は新聞(記者)活動であり、そのコミュニケーション過程を通して、自分たちの民主的な社会を支える多様な意見を共有する機会をつくるものとなる。」とその有効性を語ります。
もう1つの方法は「メディアを考察する他者の考え(知見)に触れることだ。」とします。
「誰しもメディア情報を批判的に読んでいるわけではないし、偽情報かどうかを見分ける読み方を意識していない。それゆえ『曖昧な情報に耐える力(ネガティブリテラシー』(佐藤卓己)や、『情報を吟味する力』(坂本旬)が必要になる。そこで、新聞のオピニオン欄に掲載されるメディア=新聞について書かれた記事の活用は有益である。)とその有効性を語ります。
最後に次のように記述されています。
「新聞づくりでジャーナリスト感覚を、オピニオン欄でメディア(新聞)を考える。それらの活動を継続すれば、メディアとしての新聞=ジャーナリズムの働きを学び、メディアの『作法』、メディアリテラシーを育むことになる。」
現在の私の研究「紙でもデジタルでもニュースリテラシー・シチズンシップを育てる」に大きな示唆を与えて下さいました。
柳沢伸司氏とは面識があります。2005年日本NIE学会が出来るとき、研究者から実践者の私を常任理事に推薦して下さったのが柳沢伸司氏でした。日本NIE学会では教育学関係の方が多く、メディア研究者が少なかったので柳沢伸司氏の存在はとても大きかったです。
日本NIE学会でお世話になるだけでなく、日本NIE研究会の「NIE清里フォーラム」にも参加下さり貴重なアドバイスを頂きました。
【2~3頁】
「メディア比較で育む力」
横浜市立荏子田小学校教諭 浦辺文也氏
「新聞づくりを通して『新聞の価値』を問う」
広島市立日浦中学校教諭 齊藤紘希氏
「新聞で深まる教科書の理解」
鈴鹿中等教育学校教諭
井上智貴氏
17年前ですが文化放送プロジューサー(当時)の清水克彦氏と共著で『メディアリテラシーは子どもを伸ばす』(東洋館出版、2008年3月)を出版しました。
メディアの状況が大きく変化しましたので、この続編が必要ですね。
