第6回 日本新聞協会NIEホームページを探るⅠ「NIEニュース」⑥ファミリーフォーカスに言及
NIEニュース95号(2020年2月15日発行)
https://nie.jp/publication/pdf/ver_95.pdf
【フロントページ】
特集「家庭で取り組むNIE」
まず、特集「家庭で取り組むNIE」寄稿の意図が書かれています。
「子どもたちが日常的に新聞に触れ、親しむためには、学校だけではなく家庭でも新聞を読む習慣をつけることが重要だ。新聞を通して世の中の出来事を知り、気になった記事について家族で対話することで、子どもたちの知識が広がり、社会への関心も深まる。さらに、親子の会話が生まれ、親が改めて新聞の良さに気付くことも期待できる。家庭で進めるNIEについて寄稿いただいた。」
秋田大学大学院教育学研究科特別教授・秋田県NIE推進協議会会長 阿部昇氏
阿部昇氏は寄稿文の中で以下の3点について書かれています。
家庭でのNIEは0歳から開始
新聞は大切な家庭文化である。子どもは、家庭の中で親や家族が新聞を読んでいる姿を見るところから家庭文化を学ぶ。物心がつくと、自然と新聞に興味をもつようになる。
家族が紙面をタイムリーに見せる
新聞記事には、見出しや本文だけでなく、写真や図表、イラストなどさまざまな要素が含まれる。ジャンルとしても広告や漫画など多様である。それが子どもの関心にヒットする。もちろん、テレビ欄も使える。
スクラップや2紙の読み比べにも挑戦
全国紙と全国紙、地方紙と全国紙など2紙を比べると、意外なくらい面白い違いを発見できる。まず、見出しが新聞によって大きく違う。写真の読む比べも楽しい。初めはそこまでで十分である。慣れてきてリードの読み比べ、本文の読み比べへと進んでいくと、また、新しい発見がある。さらに3紙の読み比べに発展しても良いのである。
阿部昇氏とは面識があります。日本NIE学会では大変お世話になりました。
2012年11月24日秋田大学で開催された日本NIE学会では、韓国から二人の先生をお招きしての課題研究「NIE研究の国際化~韓国の取組から学ぶ~」を私も含めた3名で行いました。翌日、訪日された李貞均先生の要望に応えていただき、日本の学校訪問として秋田大学附属小学校の授業を2時間視察することができました。私も一緒に参観しました。安部昇氏に調整して頂きました。
NIE研究者ではファミリーフォーカスに言及することが少ないのですが、その方向性を示して下さっています。
【2頁】
「親子で取り組む校長からの宿題」
国分寺市立第五小学校 竹泉稔氏
「かわせみの宿題」(かわせみ=国分寺の鳥、2018年度途中から月1回程度で始めた校長の出す宿題)で使用する記事は、一般紙と子ども新聞3紙から選んでいる。表面には記事とその記事に関する問題を載せている。記事の内容を理解できれば答えることができるように、穴埋めや簡単な記述式にしている。裏面は「いっしょに読もう!新聞コンクール」の書式を活用している。希望する児童だけの課題であるが、学年や学級によってはかなりの人数の児童が取り組んでいる。①記事を読んで自分の思いや考えを書く、②家族や友達に同じ記事を読んでもらい、意見を聞き取り、記入する、③家族や友達と話し合い、広げたり深めたりした意見を書く-これを継続することで、児童と家族との話題が広がり、新聞を通して親子の交流が図られている。「親子で宿題に取り組み、新聞の良さを改めて実感しました。身近な問題を家族で考えることはとても有意義なことでした」と保護者の声が寄せられた。
竹泉稔氏は私がNIEに関わった1980年代から一緒に活動してきた先生です。私より5歳若い方でとても誠実な方です。先日も電話でお話させて頂きましたがこれからも一緒にNIEの研究を続けたい方です。
【2~3頁】
「『ファミリーフォーカス』で伸びる力」
福井市宝永小学校教諭 岡崎英美子氏
「子育て世代に新聞を」
北海道新聞社 NIE推進センター委員 渡辺多美江氏
日本のNIEは主に学校教育で推進されてきました。教育の場は学校以外にも家庭や地域で取り組まれています。私は学校以外の場での取り組みに期待してきました。特に家族で取り組むファミリーフォーカスを推進してきました。我が家でも実践しました。詳細は今後公開していきますが、文章化したものの一部をご紹介致します。
①「米国・豪州NIEから学ぶこと」『新聞研究』日本新聞協会、1992年11月号、所収。
1992年5月、日本新聞協会の米国NIE視察団に同行し、「国際NIEの日」「米国NIE大会」に参加した後に2校でNIE授業を視察することができました。「国際NIEの日」でノルウェー新聞協会ステイン氏のファミリーフォーカスの話を聞き、後で時間をとって頂き話を伺うことができました。これが私とファミリーフォーカスの出会いでした。

②「『ファミリーフォーカス』を通して-親と子どもたちはどんな力が育つと考えるか-」『日本NIE学会誌 2006創刊号』 2006年3月、所収。
③「NIEの国際化-韓国の取組から学ぶ-」『日本NIE学会誌 2013第8号』2013年3月