第19回 日本新聞協会編「NIEニュース」第2号(1995年3月)発行
1995年3月に日本新聞協会編「NIEニュース」第2号が発行されました。
いくつかの頁での内容をご紹介致します。
【1頁】
「NIEの効果」
フロントページは岩本廣美(奈良教育大学教育学部助教授)氏の「NIEの効果」です。岩本氏は東京学芸大学附属小金井小学校教諭の経歴があり、短い期間でしたが、東京NIE推進委員会で一緒に研究させて頂いたと思います。私はこの岩本氏の「NIEの効果」で最も賛同したのが「最も大切なことは、21世紀を担う一人ひとりの子どもが、当たり前のことであるが、新聞を好きになることである。そして、新聞を大切に扱う家庭や新聞を囲んで語り合う家族の創造が必要である。子どもが新聞を読んでわからないところを気軽に教えてあげる親のいる家庭、そこからさらに話題が日本・世界各地へ広がっていく家庭を作っていくことが基本である。NIEの本当の効果とは、新聞を通して、学校教育への家庭の理解と協力の輪を広げていくことであるし、それが結局は、社会における新聞の役割を高めていくことにつながっていくものと確信している。」という意見でした。当時からファミリーフォーカスに関心を持っていた私にはとても素晴らしい提言と考えました。
【2~3頁】
対談「これからの教育と新聞 中野重人文部省視学官に聞く」
聞き手は髙橋守時事通信社『内外教育』編集長で展開されました。中野重人氏は1992年から全面実施された小学校新教科の生活科設立に尽力された方として教育界では広く知られた方です。
「日本新聞協会が教育現場の協力を得ながら1989年から本格的に進めてきたNIE、すなわち教育における新聞利用と教育課程、21世紀の教育との関係になどについて、89年度の学習指導要領改訂に深く関わった中野重人・視学官に、高橋守・『内外教育』編集長(日本新聞協会NIE第一・二専門部会委員)が聞いた。」
全ての対談の様子をご紹介はできませんので、最後の「21世紀の教育とNIE」の部分を引用します。
髙橋「次の教育課程改定の準備の一つとしてカリキュラム編成等に関する調査研究が来年度スタートし、早ければ96年度にも教育課程審議会が設置されて、次の世紀に向けての教育課程改定作業が本格化していくと思います。この新しいカリキュラムでは、かつて高校にあったよう時事問題のようなものが見直されてもよいのではないでしょうか。一方、学校五日制の拡大が次の教育課程にどのように影響するのか、ということもあります。」
中野「おっしゃる通り、21世紀に向けての学校教育のプログラムが検討される時期にきています。学校教育の枠組みは、週五日制ともからんで関心が寄せられています。21世紀の教育は、NIEが問題提起していることと重なる、同じような方向を目指していかざるを得ないと考えます。一言でいえば次世紀は情報化社会を生き抜く能力をもった人間を育てなければなりません。NIEが主張している情報処理能力、活字を通して深く考える力が求められています。」
髙橋「これまで日本新聞協会ではNIE運動を、①NIEに関する調査、②マニュアルの発行、③NIEパイロット計画 ④実践発表会などの開催―の4つの活動を中心に進めてきました。最後に、これからどのようにNIEを進めていったらよいか、アドバイスをお願いします。」
中野「こうした活動は重要だと思います。一般の先生に広くNIEを浸透させていくには、マニュアル類の発行と並んで、紙面で日常的にNIEの実践などを紹介することが有効なのではないでしょうか。新しいことを進めるには相当の努力が必要ですが、今後もNIEを広げる活動を続けていくことが大切だと思います。
(1995年1月31日収録)
【4~5頁】
「全国NIE関係会合めぐり」
「1994年の10、11月に、日本各地のNIE推進組織や新聞社が主催して開催したNIE関係の講演会、シンポジウム、実践発表会などの概要をリポートする」
宮城県、茨城県、東京都、新潟県、富山県、兵庫県、鹿児島県での試みが紹介された。
【6~7頁】
「NIE推進組織の現状 進む教育界と新聞社の協力」
1994年度「パイロット計画実施都道府県および各地の主なNIE推進組織」
北海道、宮城、山形、福島、栃木、埼玉、東京、神奈川、新潟、静岡、愛知、滋賀、三重、京都、大阪、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、愛媛、福岡、大分、佐賀の27都道府県でパイロット計画実施および推進組織設置があるようです。
西高東低の傾向がありますね。
【8頁】
「教師による米国NIE視察 1995.3.26→4.2」
「小・中・高等学校の先生18人で構成する『教育関係者米国NIE事情視察団1995』が3月26日から4月2日まで8日間の日程で、米国西海岸のNIE事情を視察する。今回の視察団は、3年ほど前に、パイロット計画に参加した東京・大阪の先生方から、NIE先進国である米国の事情を見に行きたいとの希望が出され、これが実現するもの。メンバーは早くから日本新聞協会のNIEパイロット計画を展開してきた東京、大阪、新潟の先生方を対象に、当協会が募集した。協会からは妹尾彰・NIEコーディネーターと佐藤嘉男・米国駐在代表が同行する。一行は、小・中・高等学校でNIE授業を参観するとともに、地元の新聞社を訪問する。サンディエゴでは中学校1校とサンディエゴ・ユニオン・トリビューン社を見学、翌日ロサンゼルスに飛び、中・高等学校各1校と、ロサンゼルス・タイムズ社を訪問する。サンフランシスコではサンフランシスコ・ニュース・エージェンシー社と学校2校を訪問する。最終地シアトルでは小学校とシアトル・タイムズ社を訪れる予定。」
私も参加しましたがハードなスケジュールでした。
「子供の権利をテーマに国際会議」
「国際的な新聞団体である国際新聞発行者協会(FIEJ)は9月14日、15日の両日、スウェーデンのストックホルムで、子供の権利をテーマに『NIE国際大会』を開催する。『新聞と教育、そして民主主義』『新聞と若者たち』『若者は新聞をどう考えているのか』などのセッションを行うほか、6つのワークショップが開かれる予定。」
私も参加しました。その様子は第4号でご紹介致します。
NIE日誌(1994年12月~1995年3月)
編集後記
「昨年11月に誕生した創刊号は、全国でNIEを実践している小・中・高等学校の先生方をはじめ、教育委員会、新聞社などに配布しましたが、その後も多くの方々から購読希望をいただき、印刷部数は7千部に達しました。」
NIEの普及に大きな役割を果たしたのでしょう。
(社)日本新聞協会とは