第20回 日本新聞協会NIE委員会編『NIE-教育に新聞を 実践報告書 小学校編 1994年度』(1995年6月)の発行
日本新聞協会NIE委員会委員長山本治郎氏(中国新聞社代表取締社長)が報告書冒頭「すそ野広がる日本のNIE」で以下のように述べています。
「日本の新聞界がNIE(エヌ・アイ・イー=Newspaper in Education、教育に新聞を)を初めて提唱してから、今年で満10年を迎えた。『情報化時代』といわれる一方で、子どもたちの活字離れや社会への無関心が指摘される現状に、新聞界として少しでもお役に立ちたいとい考えてのことである。
NIEの一環として、日本新聞協会では学校教育における新聞活用の可能性を探るととに、より多くの先生方にNIEの良さを知ってもらうことを目的に、教育現場の協力を得て、1989年度からパイトット計画を進めている。東京での実践を皮切りに、91年度は大阪、92年度には新潟でもスタート、94年度からはその他の地域にも拡大し、28都道府県66校の先生方に実践研究をお願いした(後略)。」
東京1都から28都道府県への5年間でのまさに「すそ野広がる日本のNIE」の発展ではないでしょうか。
目次を見てみましょう。
この報告書には20都道府県31実践報告が掲載されています。テーマも多様です。
「NIEルームを設置して」「NIEによる社会科の授業改善」「情報活用能力の育成を目指して」「新聞で探る環境問題」「個が生きるNIE活動」「児童と新聞の距離を縮める」「一人ひとりの子供が生き生きと活動する学習指導の工夫」などとても関心があります。
現在NIEを実践されている先生がこの報告書を読んだらどのような感想を持つか聞いてみたいところです。
前文部省視学官、国立教育研究所教科教育研究部長の中野重人氏の「実践報告を読んで」の多様な実践活動の展開の見出しで「NIE活動に、これが典型というものはない。すばらしい活動であっても、それがすべてではないのである。いろいろなNIE活動があってよいのである。というのは、NIE活動は子どもの発達段階や学校の種別によって、異なるのが当然なのである。また、教科や領域によって、それぞれ特色ある活動を展開することも大いに求められるのである。この多様性こそ、これからのNIE活動を発展させる原点であろう。」と述べています。
私はこの報告書で執筆者の一人として「私は世界の迷(?)ニュースキャスター」の実践報告を書いています。6年生での実践の要約は以下です。
1時間の学習の中で、世界のニュースをキャッチした後、B5版の紙にキャッチしたニュースの解説を書くことを課題とする。このような「迷(?)ニュースキャスター」は5年生の時から行っているが、世界のニュースに注目させるのである。そして、この学習は以後6年生の終わりまで続くのであるが、キャッチしたニュースがどの国のものであるのかを世界地図に書き込むことも課題とした。以下にある子どもの「迷(?)ニュースキャスター」と「ニュース世界地図」を提示する。
日本新聞協会NIE委員会編集『NIEニュース』と『NIE実践報告書』はNIEの普及に大きな役割を果たしたのではないでしょうか。