第3回 日本教育技術学会で「小学校におけるNIE(NEWSPAPER IN EDUCATION)の授業Ⅰ」の研究テーマで発 表 1988.11.27 千葉大学
第2回で日本新聞協会『ご存じですか NIE NEWSPAPER IN EUCATION』(1987年発行)について紹介しました。この冊子から学んだことは「NIEには多様性があっていいのでは」ということです。米国とヨーロッパでは取り組み方に違いがあるので内容・方法も多様性があるはずです。新聞を丸ごと活用することが基本としてもいろいろな活用方法を模索していいはずと考えました。新聞社や新聞協会がマニュアルを作成している意図はそのような考え方に基づいていると推測しました。
この冊子を通して私が教師になってからの新聞を活用した授業・学習について整理していました。
欧米のNIEのように一人一部新聞をもっての学習に常時取り組めてはいませんが、私なりの実践を振り返りました。
ちょうどその頃私は、優れた実践を法則化する「教育技術法則化運動」に関心があり、代表の向山洋一氏とも交流がありました。教育技術をより研究的に推進する「日本教育技術学会」の会員にもなっていました。そこで、今までの新聞を活用しての実践を教育技術の視点から考察するとどのようなことが分かってくるか問題提起をすることにしました。おそらく教育系の学会で「NIE」と名がつく初めての発表ではないかと思います。
当日のレジュメ(B4版全34枚)からの12枚に基づきどのような授業・学習が行われてきたのか提示します。
フロントページには以下の内容が書かれています。
1.研究課題
2.なぜ「新聞」を教育に使うのか
3.どうして「新聞」は言語・社会・自然等に対する関心を育むことができるのか
4.どのように「新聞」を活用するのか
(1)新聞を丸ごと対象にし教材として活用する
Ⅰ『私は迷(?)ニュース・キャスター』 6年 社会 86・87年度
Ⅱ『教室で「ヤジウマ新聞を」』 6年 社会 87年度
(2)ヒント的な教材として活用する
『「アイデア漢字」を使った授業』 6年 国語 87年度
(3)一定のテーマを継続して追究する教材として活用する
Ⅰ『衆参ダブル選挙を追う』 6年 社会 86年度
Ⅱ『世界の動物 ほんと・うそクイズ』 2年 理科・社会 88年度
(継続中)
(4)「自由研究」の資料として活用する
『アメリカ産にはかなわない』(広告研究) 6年 社会 86年度
6つの授業のポイントになるページの一部とNIE授業の考察に関するページを提示します。
(1)新聞を丸ごと対象にし教材として活用する
Ⅰ『私は迷(?)ニュース・キャスター』6年 社会 86・87年度
Ⅱ『教室で「ヤジウマ新聞を」』 6年 社会 87年度
(2)ヒント的な教材として活用する
『「アイデア漢字」を使った授業』6年 国語 87年度
(3)一定のテーマを継続して追究する教材として活用する
Ⅰ『衆参ダブル選挙を追う』6年 社会 86年度
Ⅱ『世界の動物 ほんと・うそクイズ』2年 理科・社会 88年度
(4)「自由研究」の資料として活用する
『アメリカ産にはかなわない』(広告研究)6年 社会 86年度
NIEの授業の考察
今後の課題について次のように記述しています。
1)発問・指示を明確にした新聞の使い方
やはり、新聞情報と教育技術の結合の図り方が弱い。発問・指示を明確にした新聞の使い方を実践することが必要である。
2)個に応じた指導の仕方
ひとりひとりの受け止め方をどのように尊重し個性に合わせた指導をすればよいのか。また、読解力が十分でない子への対処の仕方はどのようにしたらよいのか。
3)NIEの多様な実践をする
いろいろな試みをすることが必要だろう。現在継続中のものも含めて、こんな実践ができるのではないか。
①『世界の新聞を集めちゃおう』(2年生で継続中であるが、5・6年生がよい)
②『新聞の見出しは面白い』(5・6年生)
③『新聞の働きを探る』(5年生)
自分の実践を整理し今後の課題が明確になったようです。本格的なNIEの実践に向けた準備が徐々に整ってきたようです。